北海道放送事件


北海道放送事件

札幌地裁判決 1964年2月25日

労働民例集15巻1号90頁

〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令の根拠〕
 第二、配置転換命令の性質
 被申請人は、配置転換命令は単なる事実行為であつてその有効無効を論じる余地はないと主張する。一般に労働契約においては、労働者は企業運営に寄与するため使用者に対し労働力を提供し、その使用を包括的に使用者に委ねるのに対し、使用者はその労働力の処分権を取得し、その裁量に従い提供された労働力を按配して使用することができるものである。すなわち当該労働契約において特に労働の種類・態様・場所についての合意がなされていない限り、これらの内容を個別的に決定し抽象的な雇傭関係を具体化する権限は使用者に委ねられており、使用者は右権限に基づいて労務の指揮として自由に-但し、労働協約に定めがあるときはその基準に従つて、-具体的個別的にその内容を決定することができる。配置転換・転勤等の人事異動は使用者の有する右のような権限に基づく命令であつて、それは使用者がさきに自ら決定していた労働契約の具体的個別的内容を一方的に変更する行為というべく、その意味において一種の形成行為と解するのが相当である。したがつて、それが労働契約その他に定められた有効要件を備えていないときは命令の無効を来たすことになるといわなければならない。被申請人の右主張は採用することができない。
〔配転・出向・転籍・派遣-配転命令権の限界〕
 そこで右違反の効果について考察すると、労働協約第七条の規定のうち配置転換に関する部分は労働者の企業内における地位、職務内容の得喪変更に関する規定として労働条件事項の性格を有するものと解される。したがつて右はいわゆる労働協約の規範的部分に属するものというべきであるから、これに違反した行為の効力は否定されなければならない。そうすると、労働協約第七条の配置転換に関する部分に違反した本件配置転換命令は無効であるというべきである。

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